2013年07月06日

TTSS「花火」(K)

TTSSお題「花火」を柑那さんからいただいたので
もう一丁30分間タイムトライアルSSやってみました。

続きから、「人に向けるな」という注意書きを思い出す感じのTTSSです。




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「何だこれ?」
 屋根裏部屋のごちゃっとした荷物のかたまりに、うっかりつまづいて散乱させたウォンは、見慣れないものを見つけた。
 片手で持てる小さな丸い物が、きつく布で巻かれて転がっていた。表面が少し汚れていて、食べ物や貴重品のようには見えなかった。
 一か所だけ、短いひものような物が付いていて、匂いをかぐと微かに火薬のにおいがする。
「火炎瓶みたいなもんだな、たぶん」
 そう判断したウォンは、担いでいた荷物袋にぽいと放り込んで、それっきり忘れた。
 
 そして次に思い出したのは、偶然袋の口がゆるんで、偶然ウォンの手の中に、それが転がり出てきたときだった。
 まさに天の助けだった。ふところから火付けを取り出すと片手で器用に火をつける。それを
頭の上に──というより顔の真上に掲げ持って、高らかに宣言した。
「おめーら、これが何か分かるか! 爆弾だ! もう火は付けられた! せいぜいあの世で後悔しやがれ!」
「何!?」
 ウォンを地面に抑え込んでいた小太りの少年も、取り囲んでいた少年たちも、一斉に青ざめて後退りする。
 火のついた短いひもはあっと言う間に短くなり、ウォンはためらいなくそれを少年たち目がけて投げつけた。

 すぱぱーーーーーーん ぱーん ぱぱーん ぽんっ ぽんぽんっ

 綺麗な眺めだった。
 それは確かに大きく弾けて爆発音と火花を散らせたが、赤や緑や黄色の火花が面白い形に飛び出し、一度だけでなく立て続けに弾ける様子は、まるで花が咲き乱れるような光景だった。
 ウォンは、難を逃れた一部の少年たちと共にぽかんと口を開けてその様子を見つめていた。
 やがて火花がおさまると、灰色の煙がもくもくとたちこめてあたりを覆い隠した。
 小太りの少年が、げほげほとむせ返りながら「ちくしょう、覚えてろよ!」と言い放つと、少年たちを引き連れて煙の中を走り去る気配があった。
 ウォンもまたげほげほ咳き込みながら、
 「ざまぁみやがれ!」
 勝利の余韻にひたっていた。
 意気揚々と『煉瓦』に戻ったウォンだったが、マーカスにしこたま叱られ、すすだらけになった服をあっと言う間にひん剥かれたのだった。
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posted by SかK at 23:31| Comment(0) | TrackBack(0) | SS
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