2018年03月18日

「心にいつも竜を」#ここドラ の舞台裏

この記事は、2017年10月28日に発行した竜と人&字書きと絵描きの豪華コラボアンソロジー「心にいつも竜を」通称ここドラ、と一緒にテキレボ6で限定少部数を頒布したコピー本「ここドラ主催のチラ裏」の内容とほぼ同じものです。ちょっと加筆しています。
テキレボ6のイベントレポ記事でも「後日別の記事で」と触れましたが、あやうく半年過ぎてしまうところでしたね! ようやくの公開、お待たせいたしました。
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アンソロ企画主催はどういう作業をしていたの?とか、何を考えて作ったの?とか、そういう裏話に興味がある方におすすめです。また、アンソロ本体が未読でも、ネタバレ無しで、この記事単体でお楽しみいただけると思います(コピー本頒布時に、先にこっちを読んだけど面白かったとのご感想を頂戴しました。)
ただ、初めてのことも多かったので、ベテランのテクニックとか知っておくと役に立つノウハウとかそういう情報は皆無です。

記事の内容は、一言でいうとお花畑的なトークなので、もし「そういう中の人トークを見るのはちょっと」という方はごめんなさい。この記事を見なくてもアンソロをお楽しみいただくのにはまったく支障ありませんのでご安心ください。また、記事の中ではいわゆる数字の話にも少し触れるので苦手な方はご留意ください。(※編注:長くなったので別記事に移しました。この記事の中では頒布実数の話は出てきません)

以下、9千字ちょっとの本文が続きます(コピー本から1千字くらい増えました。)


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■企画のはじまりからおわりまで
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●きっかけ
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はっきりとは覚えていないのですが発行のちょうど一年前のテキレボ4の公式打ち上げの場で「竜のアンソロジーが読みたい」的な発言をしたような、しなかったような。2016年10月の夜でした。その数日後のTwitter上で自分の発言の中に「竜のアンソロジー誰か作ってくれないかな」のようなツイートがありました。おそらくここから、すべては始まったのだと思います。しかし出来上がってみれば「この本が世に出ることは必然だったのでは? たまたまその作業の流れの中に私がいただけにすぎないのでは?」な気持ちにさえなりました。
(冷静に振り返ってみると2016年時点では「誰か作ってくれないかな」とつぶやいていたけれど、自分が作るとは思っていなかったようです)

竜のアンソロジー、それだけでとてもわくわくしてきます。でもそこに、もう一滴なにか私の好きな要素を入れたかった。それが「竜と人の関係性が浮かび上がるような、世界観を描き出すような物語」というポイントでした。そのお話の世界では、竜と人はどんな関係なのか? どういうかかわりがあって、今後どうなっていくのだろう? そういう余韻があるといいなぁ。そこまではっきり言葉にしたかどうかわかりませんが、「ここドラ」の5作品は図らずもすべてそんな素敵な要素が盛り込まれたお話になったと思います。私はとても嬉しかったです。

さて主催するとしても、身の程を考えると私は当時年2回開催だったテキレボにしか参加していない、千や万単位のフォロワさんがいるわけでもない普通のひっそり一次創作一般市民ですので、自力での大量頒布は不可能です。テキレボでパァーッと遊びたい、ぱーっと売り切る規模感で気軽に作ることにしよう、ということを最初に決めました。
私の一次創作の個人誌で、手に取りやすい手軽なものを最近作って頒布したときの初回の頒布数が20部くらいだったから、ほかの参加者さんの素敵な作品も読めるとなれば30部くらいは手に取ってもらえるだろうか。そのくらいの意識でした。それなら私にもできそうだ。
この「できそうだ」という気持ちがスタートの号砲だったのですね、きっと。


●参加者あつめ
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たとえば200部作って全国の同人誌即売会で頒布しますよとか、豪華絵師さまをお迎えして素敵な表紙絵で宣伝効果抜群ですよとか、原稿料いくらお支払しますよとか、そういった具体的な「参加するメリット」をご用意できない、できないことはしない、それでも作れる本を、楽しく作れる範囲でやろう、と決めるのは主催の自由です。けれど「そんな企画にわざわざ参加してあげようと思う人は何人いるだろうか」という重大な命題が残ります。

ここはひとつ、会社で企画を立てて相手にプロジェクトに賛同する気になっていただくためにこの情熱と面白さを伝えるためのプレゼンをする──そんな意気込みでお誘いしなければなるまい。私は、今までやったこともない初めてのことにあれこれと取り組み、可能な限り最大限の準備をしました。具体的には、Tumblrに登録して企画詳細をまとめたページを作成し、説明には図を多用してひと目で何となく伝わりそうなものをご用意しました。そして、謝礼もほとんどない中でお一人ずつ、ダメもとの精神でお願いしに伺いました。

最初はびくびくしながら、きっかけの頃に「本当にやるなら参加したい」とか「何かできることあれば協力しますよ」とか表明していただいていた人たちにすがる思いで声を掛けさせていただきました。しかし二人目、三人目と回数を重ねていくと、だんだん「この人は忙しすぎて無理ではないか」とか「ご自分の原稿が常にフルスロットルの人だから無理ではないか」という前情報のある人へお願いすることになっていくので、今度こそ断られるだろう、いや今度こそ無理だろう、と自分への事前の精神的ケアが大変でした。

おかげさまで、今回お願いさせていただいた方からは、これ以上ないほどのご快諾をいただくことができて、もうそれだけで主催にとってはこの企画成功したも同然だ……みたいな気持ちが溢れました。


●転機1:告知ツイートに60RTの反響
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絵描きさんに作品を読んでもらい、そこからインスピレーションで自由に描いていただく、という手順を踏む以上、字書きさんの小説作品は通常よりも早めに提出いただかなければなりません。けれど主催は世界観たっぷり、竜と人の関係性たっぷりの物語が読みたい。それはそんなに手短に書き上げられるものではないはずです。そこで「一次原稿提出〆切」を設けました。
頒布するテキレボは10月28日ですが、一次原稿は6月の中旬に提出してもらいました。ここでだいたい仕上がった人には初稿として提出いただき、まだ書き終わっていなくても「原稿の一部と全体プロット」を出してもらうことで、絵描きさんが物語の全体像と作者さんの個性などをおおまかに把握することができるだろうと考えました。この時点で1万字以上のお話をばっちり書き上げて提出いただいた参加者さんが複数いたことには感動しましたね……。なお原稿の最終〆切は8月終わり頃にしていました。

めでたく期日までに全参加者さんからの一次原稿が集まりましたので、これでおそらく最終〆切までにお話が書き上がらないという事故も回避できるだろう、そう考えた私はようやく「アンソロジーの告知」をしました。Twitter上で、いわゆるキービジュアルと頒布日やイベント名、そして参加者名を宣伝するための画像付きツイートです。(実は表紙絵をまったく用意していなかったので「キービジュアルとは……?」という難問が聳え立っていたのですが、それはまた別のお話です。)
テキレボで頒布して売り切る予定、という話はときどきしていましたし、テキレボはもともとTwitter上での情報発信が強いイベントだと思います。Pixivやその他の告知向きの媒体を持っていない主催でも、Twitterさえあればテキレボに出しやすい、というのも幸運だったと思います。

この初告知の反響は予想以上の大きさでした。記憶では、あっという間に30RTを超え、RTしてくださった方々が「気になる」「ほしい」といったとても好意的な反応をツイートしてくださっているのを目にしたときが、私の中で最初の転機だったと思います。当初考えていたような規模では、つまり30部では足りないのでは? と初めて感じた瞬間でした。ここからじわりじわりと企画規模が膨張を始めます。(その後テキレボ前日時点で確認したところ60RT超でした。)

さて絵描きさんに字書きさんから提出いただいた一次原稿(初稿)を展開させていただきます。すると間もなく(間もなくです)絵描きさんたちから続々とラフが送られてきたのですが、私はそれを見た瞬間「印刷の美しさを追求する必要があるのでは?」と真剣に考え始めることになりました。絵描きさんたちには「読んで、最初に浮かんだイメージを、ざかざかと鉛筆でスケッチしたような、そういうラフで構わないので気軽に取り組んでください」のようにお願いしていたのですが、届いた絵からは尋常ではない熱意を感じます。ラフ……とは……?
このときいただいてしまったカラー原稿をきっかけに「そうだオールカラーの別冊を作ろう」という無茶なサブイベントが発生するのですが、それもまた別のお話です。


●転機2:ランディングページを作る覚悟
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皆様からの一次原稿を拝読し、絵描きさんたちの情熱に感動し、字書きと絵描きのコラボ情報の告知にまた多くの反響をいただいて、これはもう主催が大変そうだからとか言っている場合ではなく、読みたいと思ってくれたすべての人に可能な限りお届けしなければならない本だ! と意識を切り替えました。

部数を増やすなら、オフセット印刷も検討対象になります。印刷屋さんの選択肢もプランやオプションの幅も大きく広がります。そして印刷代の幅もまた同様です。ここから、印刷屋さん巡りの果てなき旅が始まりました。最終的には、自由度の高すぎるアンソロ原稿を精一杯安心安全確実にきれいな本に仕上げてくれるに違いない、という信頼のもと、私の中で「老舗の大御所」的な存在である緑陽社さんにお願いすることを決めましたが、本当に決まったのはなかなかに入稿直前の時期でした。何ヶ月も延々とぐるぐる巡り歩いてあらゆるプランを検討していたと思います。

欲しい人がいくら全国にいても頒布機会が浅草のテキレボだけでは限界があります。欲しい人の数だけたくさん作るということは、テキレボ以外での頒布機会について考える必要が出てきました。悩んでいた主催に参加者さんたちが「よかったら他のイベントに参加するときに個人委託を任されますよ」とお申し出くださったのは、まさに天の助けでした。本当にお世話になっております…。

もうひとつ思い切るための重要な判断要素に、Twitterのアンケート機能も活躍してくれました。情報の正確性の担保はありませんが、自分の認識と「起こるかもしれない現実」との齟齬をあらかじめ軽減させるためにとても有効なツールだと思います。この場合、自分の最初の認識は30部で、アンケート結果が教えてくれた「起こるかもしれない現実」は90部ちょいでした。実に3倍です。これはたとえ正確性の担保がないにしても「自分の認識はかなりおかしい可能性があるな……?」と疑い、できるだけ多くの人の手に渡るようにしたいと考えるなら何部くらい用意するべきなのかを改めて考え直すには、十分な結果でした。

ここで気がつきます。将来的に参加者さんたちに個人委託で頒布していただくとしたら、それぞれの地域で事前に「こういうアンソロジーに参加していますよ、今度頒布しますよ、よろしく」的な、つまりアンソロジーの頒布を宣伝するフライヤー(チラシ)を事前にご用意して、配っていただくことも重要ではないかと。色んなことが初めてで普段から大して気の回らない方である主催にしては、よく気付いたものだと今でも思います。それはそれは突貫工事でA4判ペラ1枚を仕立てあげました。初めての経験で、見よう見まねのことでした。

もうひとつ重大なことに気がつきます。そこまで拡散するならば、企画用アカウントだとか、告知サイトだとか、何か情報を集約できるツールが必要であると。全国のどこかでフライヤーを見てくださった、これまで全然ご縁のなかった人が「ここドラってどんな本かな」と思って貴重なアクションを取ってくれたときに、そのワンアクションでほしい情報(知ってほしい情報)すべてにアクセスできる環境が整っていなかったとしたら、あまりにもったいない話です。
フライヤー(チラシ)の頒布が必要だと思って頑張って作り、方々へ頒布のご協力をいただいておきながら、肝心のランディングページが無かったら、何のための宣伝活動か。
告知サイトなんて作ったこともありませんでしたが、幸いにも見たことならありました。Tumblrのテンプレート「Tokusetsu」という、素晴らしい同人CD(同人誌も可)向けの告知サイト用のフリー頒布が存在することをかつて私に教えてくれたのもTwitterでした。名前は全然覚えていなかったのですが、とにかく検索キーワードを駆使してどうにか探し当てることができたのは幸いでした。
こうして私はいくつめかの「初めて」をここドラに捧げました。


●転機3:宅配かタクシーか 〜分納のススメ〜
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本は紙であり、紙とは重さです。たくさん作るということは、どうやって会場に持ち込むかという問題でもあります。これまでもA5判の自創作本を毎回手搬入していましたが、ちょうど前回100Px40冊ほど持ち込もうとした際に「これ以上重くなったら物理的に一人の手で運ぶのはもう無理だな」と悟っていたことを思い出しました。ここドラを、絶対にテキレボで完売しない意気込みで持ち込むとしたら、それはつまり絶対に手搬入は不可能だということに他なりません。

折り畳みキャリーに段箱を積み込んで、会場までタクシーで乗り付ければ良いかなと考えていたのですが、天候不順の可能性や、道路までの荷運び自体が大変であることなど、諸先輩方からもろもろアドバイスを頂戴して最終的に「印刷屋さんからイベント宅配搬入向けに発送してもらう」という選択をしました。しかし私は初めての大きなアンソロジーで、もし万が一のことがあったらと思うと、イベント当日に会場で初めて本とご対面するという恐怖体験に臨む勇気がありません。

そこで分納です。自宅とイベントとの分納にしようと決めてからは、可能性が広がりました。重さとの葛藤から脱却して、ありったけをイベント会場に搬入しても大丈夫だし、自宅納品分を早めてもらってそちらは献本発送を迅速に進めることもできます。テキレボの翌週に日本の北と南でそれぞれ開催され、ここドラ参加者さんたちも直接参加されるイベント向けの個人委託分を余裕を持って送付させていただくことだってできるのです。これはとても助かりました。

もう一つメリットに気がつきました。当日もし主催に何かがあってイベントに参加できない事態になったとしても、本だけは会場に届くはずです。読みたいと言ってくれた人たちに、書きたいと言ってくれて参加いただいたこの素晴らしい作品たちを読んでもらう機会は、すでに確保が約束されているのです。ああよかった。これで安心して眠れます。実際にはイベント直前は毎日遅寝でした。


●まとめ
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というわけで、「30部くらい好きなように作ってテキレボでぱーっと完売させよう」という気軽さで始めたアンソロジーは、いつの間にか「読みたい人には絶対にお届けしよう、めざせテキレボ100部頒布!」みたいなおおごとに膨らんでいきました。それもこれもすべては、素晴らしい作品の誕生と、参加者さまたちの親切で寛容で協力的なお気持ちのおかげです。主催一人の力では何もできなかったことでしょう。あとはテキレボ当日、無事に笑顔で本が旅立ってゆくことを祈るだけです。(※編注:この原稿を作成していたのはテキレボ前日でした)
ちなみに100部頒布を目指すということは、それ以上を持ち込むということですね。当日どっさり発生したお持ち帰りは、いさぎよく宅配搬出したおかげでらくらくでした。



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■主催の考えたこと
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●全員の勝利でおわりたい
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主催を決めたときから、参加者全員が何か得るもののあるような企画にしたいなぁという、物理法則を無視した感じの目標がありました。
物理的なものではありません。参加したことで得られる満足度の高さがほしかったのです。もし万が一、世に出た本の評判が期待外れで惨憺たる結果になってしまったとしても、最悪、参加者さんがこの企画に参加したことについてはそれぞれに満足できる経験だったなと思ってもらえたとしたら、テキレボ当日までの期間を楽しんでもらうことができれば、それで最低限の成功だと言えるのではないかと。

「参加しただけで楽しめて満足できる企画」の一端を担ってくれたのは間違いなく「字書きと絵描きのコラボ要素」だったと思っています。ここをどう運用するかで、満足度が大きくプラスになることもあれば、マイナスになってしまうリスクもあると考えていました。
誰かと誰かがペアになったことで誰かが特別に損したり得したりという気持ちになることのないようにするために主催として何ができるか、というのはすごく考えていて、最後まで考え抜きました。何の話かピンとこない人もいるかもしれませんが、創作交流的なことを長らくやっていると、たとえ自分には経験のないことでも風の噂で流れ聞くことは少なくない話題なのです。
実は、本音を言うと「なんてことだ、この人とペアになっただなんて私は世界一の幸せ者だな!?」とかアメリカンなハッピー気分を全員に思ってもらえるくらいのことができたら主催として最高だなぁ、などと不届きなことを思ってあれこれやっていました。

書く人にも、描く人にも、めいっぱい楽しんでもらえたら、最大のパフォーマンスが引き出されるに違いない。それがきっと、すべての作品にとって一番幸せなマリアージュになるに違いない。その結果を読むことができる読者にとっても最高の体験になるに違いない。これらすべてを実現するために、主催にできることは何だろう。
結果が果たしてどうなったのか。それは参加者だけが知っています。


●私だからこそできることって何だろう
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特別な編集スキルがあるわけでもないし、カリスマ頒布力があるわけでもない、それでも私が主催するアンソロジーにわざわざ参加協力してあげようかと思ってくださる人がいるのだから、せめて何かできることはないだろうか。これも企画の最初の段階で、ひたすら考えていました。「絵描きと字書きのコラボを成功させよう」というのは、その答えのひとつです。
小説の作者にとって、知らない人に読んだ印象を絵に描いてもらう体験は興味深いものです。そして絵描きにとって、文字で読んだ物語を消化吸収したあとには絵のイメージが広がることは少なくありません。それはどちらもとても創作的な体験だと思います。

こうした企画を面白がってくれる創作仲間が、絵の世界にも、字の世界にもたくさんいることを私は知っていました。けれど彼らはお互いの存在をまだ知りません。描いてほしい人と、描いてみたい人を、知っている。それぞれどんな作品が好きで、いつもどんなことを思っているのかを、少なからず知っている。あとはそれぞれの人と作品を、つなげることが、私にできる唯一のことだと閃きました。


●人と人のつながりは無限大
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私はもともと、絵が中心の一次創作仲間さんたちとの交流が多かったのですが、最近になってテキレボのおかげで文章がメインの創作仲間さんが増えました。けれど、両者の間にはほとんど接点も交流もない、私にとってはまったく別の地域のようになっていました。でも、絵や漫画と文章というのは、そこに物語を内包しアウトプットする表現媒体であるという点でものすごく接点の多い創作活動です。

一方で、絵と文章とではまったく異なる文化というか、「言語の違いが文化を創る」にも似た違いがあるようにも感じています。「表現方法」という言語体系が全然違う世界、それを生み出す思考の過程の第一歩目から既にいろいろと違う。さらに個人差もたくさんある。「同じ物語のアウトプットですね!」と目をつぶってひとまとめにしてしまえるほど単純な世界ではないことはよくわかっています。
でもそれは、現実社会にある文化の違いと同じように、お互いに違うということを理解し、お互いを尊重する意識を持って接すれば、お互いに刺激になることも多く、得るものも多いと思います。明確な言葉にしたことはありません。ただ「この人ならきっと、異文化交流に臨むに当たって何が双方の幸せにつながるかを直感的に理解してくれている」と見込んでお声を掛けさせていただいた、という側面は確かにありました。

私があちらとこちらで出会った素敵な人たちが、全員仲良くなってしまえなどと乱暴なことを考えたわけではありません。ただ、創作という観点で、私の領分の範囲内で「ここドラ」という交差点を作ることで、そこからどれほどの出会いや交流が生まれるだろうか。想像もしなかった創作が生まれていくかもしれない。単に一人と一人のつながりだけでなく、その人とつながっているその向こうの世界にまで、可能性は無限に広がるのです。それは、どうか傷付く人が一人もいませんようにという大きな責任を感じると同時に、大変わくわくする仕掛けでもありました。


●主催一人の考えよりもみんなの考えた和の方が大きい
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やりたいことがあったらなんでも言ってください、というスタンスで始めたアンソロジーは、最後までそれを通してしまいました。
字書きさんには「字数制限なし、書きたい世界を伝え切れるだけ書いてください」としかお伝えしませんでしたし、絵描きさんには「思った通りに自由に描いてください、色も形も点数も問いません、ただし印刷に適した解像度にだけ気を付けて」とだけお願いしていました。

そして実際、字書きさんは8千字から2万3千字までの幅広い作品で、竜と愛しあったり憎しみあったり家族になったり虜になったり友情を育んだり殺しあったり共闘したり背に乗って飛んだり咥えて運ばれたり言葉が通じたり通じなかったりする、様々な竜と人との関係を生み出してくれました。
またそれを受け取った絵描きさんたちは、自由奔放にその目に浮かんだものを描き伝えてくださったと思います。大小さまざまな挿絵とカット、点数も自由、ファイル形式も自由、見開きもぶち抜きも自由、文字と重ねるのも自由でした。これは絵描きさんたちから「こういうことってできますか?」とご相談いただいた成果です。

主催が一人で「これがベストだ!」と考えつくことよりもきっと、一人一人が作品への最善を考えてくれたアイディアを集結させて一冊という形に昇華することができたこの「心にいつも竜を」という本は、間違いなく素晴らしいものに仕上がったと確信しています。

ここドラを楽しんでくださったすべてのかたへ、最大の感謝を。
posted by SかK at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | アンソロ企画
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